○小美玉市立学校における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

平成29年3月31日

教育委員会訓令第1号

(目的)

第1条 この訓令は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。)に即して法第7条に規定する事項に関し、小美玉市立学校教職員(以下「教職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(学校の範囲)

第2条 この訓令で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校及び義務教育学校とする。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい(身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がいをいう。以下同じ。)を理由として、障がい者(障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう。以下同じ。)でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、教職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第4条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意志の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり教職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。

(校長の責務)

第5条 校長(幼稚園においては園長、以下同じ。)は、前2条に掲げる事項に関し、障がいを理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項を実施するものとする。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障がいを理由とする差別の解消に関し、その管理する教職員の注意を喚起し、障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障がい者及びその家族その他の関係者(以下「障害者等」という。)から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、管理する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 校長は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合は、迅速かつ適切に対処するものとする。

(懲戒処分等)

第6条 教職員が、障害者等に対し不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにも関わらず合理的配慮を提供しなかった場合、その行為の態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。

(相談体制の整備)

第7条 教職員による障がいを理由とする差別に関する障がい者等からの相談等に的確に対応するため、教育委員会指導室に相談窓口を置く。

2 相談を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、障がい者等が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。

3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することとする。

4 第1項の相談窓口は、必要に応じ充実を図るよう努めるものとする。

(研修・啓発)

第8条 教育委員会は、障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、教職員に対し、必要な研修・啓発を行うものとする。

2 新たに教職員となった者に対しては、障がいを理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに管理職となった教職員に対しては、障がいを理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、研修を実施する。

3 教職員に対し、障がいの特性を理解させるとともに、障がい者へ適切に対応するために必要なマニュアル等により、意識の啓発を図るものとする。

4 前各項に定める研修の実施にあたっては、市長部局の協力も得て行うものとする。

この訓令は、平成29年4月1日から施行する。

(令和3年教委訓令第1号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

別紙

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障がい者に対して、不当な理由なく、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障がい者の権利利益を侵害することを禁止している。

ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障がい者に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障がいの状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障がい者を問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障がい者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障がい者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

教職員は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明し、理解を得るよう努めるものとする。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たる得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)

○ 障がいを理由に窓口対応を拒否し、又は対応の順序を後回しにすること。

○ 障がいを理由に資料の送付、パンフレットの提供、説明会、懇談会等への出席を拒むこと。

○ 学校への入学、授業等の受講や指導、校外教育活動等、式典参加を拒むことや、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付すこと。

○ 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりすること。

(不当な差別的取扱いに当たらない具体例)

○ 合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障がいのある幼児、児童及び生徒(以下「児童生徒等」という。)又はその保護者等に障がいの状況等を確認すること。

○ 障がいのある児童生徒等のため、通級による指導を実施する場合において、また特別支援学級において、特別の教育課程を編成すること。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 障がい者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障がい者が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障がい者が受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものという、いわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、障がい者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、学校の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第6 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟な対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

3 意志の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

また、意思の表明には、障がい者からの意思表明のみでなく、知的障がいや精神障がい(発達障がいを含む。)等により、本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合などで、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑み、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努める必要がある。

4 合理的配慮は、障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者や日常生活・学習活動などの支援を行う支援員(生活介助員を含む。)等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障がいの状態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 学校がその事務又は事業の一環として実施する業務の全部又は一部を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障がい者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努める必要がある。

第5 学校における合理的配慮に関する留意点

1 合理的配慮の合意形成に当たっては、権利条約第24条第1項にある、人間の多様性の尊重等の強化、障がい者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするといった目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要である。

2 合理的配慮は、一人一人の障がいの状態や教育的ニーズ等に応じ、学校・本人・保護者により、発達の段階を考慮しつつ合意形成を図った上で提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画等に明記することが重要である。

3 合理的配慮の合意形成後も、児童生徒等一人一人の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要である。

4 合理的配慮は、障がい者がその能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育システムの理念に照らし、その障がいのある児童生徒等が十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要である。例えば、個別の教育支援計画や個別の指導計画について、各学校において計画に基づき実行した結果を評価して定期的に見直すなど、PDCAサイクルを確立させていくことが重要である。

5 進学等の移行時においても途切れることのない一貫した支援を提供するため、個別の教育支援計画の引継ぎ、学校間や関係機関も含めた情報交換等により、合理的配慮の引継ぎを行うことが必要である。

6 障がいのある児童生徒等の将来的な自立と社会参加を見据えた障がいの早期発見・早期支援の必要性及びインクルーシブ教育システムの理念に鑑み、幼児教育段階や小学校及び義務教育学校の入学時点において、意思の表明の有無に関わらず、幼児及び児童生徒に対して適切と思われる支援を検討するため、障がいの状態等の把握に努めるものとする。

第6 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。教職員は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で過重な負担に当たると判断した場合には、障がい者にその理由を説明し、理解を得るよう努めるものとする。

○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的・内容・機能を損なうか否か)

○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)

○ 費用・負担の程度

第7 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的な場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものが考えられる。

なお、記載した具体例については、第6で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載している具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例)

・ 校内等において、車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をしたり、段差に携帯スロープを渡したりすること。

・ 配架棚の高い所に置かれた図書や教材教具等をとって渡したり、図書や教材教具等の位置を分かりやすく伝えたりすること。

・ 目的の場所までの案内の際に、障がい者等の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、介助する位置(左右・前後・距離等)について、障がい者等の希望を聞いたりすること。

・ 障がいの特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、教室等の座席位置を扉付近にすること。

・ 周囲の者の存在に緊張する、疲労を感じやすい、情緒が不安定になりやすいなど障がい者等から別室や独立したスペース等での休憩の申出があった際、別室を確保すること。若しくは、別室等の確保が困難である場合には、当該障がい者等に事情を説明し、周囲の者との位置取りに配慮した場所を提供したり、近くに長椅子等を移動させて臨時の休憩スペースを設けること。

・ 災害時の警報音、緊急連絡等が聞こえにくい障がい者等に対し、災害時に教職員が直接災害を知らせたり、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図ること。

・ 聴覚過敏の児童生徒等のために教室の机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更すること。

(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例)

・ 筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字など多様なコミュニケーション手段や分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行うこと。

・ 声がよく聞こえるように、また、口の動きや表情を読めるようにマスクをはずして話しをすること。

・ 各種の紙の資料をテキストデータで提供する、ルビ振りを行う、書類の作成時に大きな文字を書きやすいように記入欄を広く設ける等、必要な調整を行うこと。

・ 来校時に声をかけ、障がいの状態をふまえ、希望するサポートを聞き、必要に応じて誘導すること。

・ 電子メール、ホームページ、ファックス等多様な媒体で情報提供等を行うこと。

・ 説明会等で使用する資料や、受付及び会場内の案内・説明等について、点字、拡大文字、音声読み上げ機能、ルビ付与、分かりやすい表現への置き換え、手話、筆談等障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を、可能な範囲で用意して対応すること。

・ 話し言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な障害者に対し、絵や写真カード、コミュニケーションボード、タブレット端末等のICT機器の活用、感覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択・自己決定を支援したりすること。

・ 通常、口頭で行う案内を紙にメモして渡す、口頭の指示だけでは伝わりにくい場合に指示を書面で伝えること。

・ 紙の資料への記入の依頼時やノート等に書き取りをする際に、記入方法等を本人の目の前で示し、又は分かりやすい記述で伝達する。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行うこと。

・ 抽象的な言葉や比喩表現等が苦手な障がい者に対し、具体的な言葉を使ったり、比喩や暗喩、二重否定表現等を用いないなどして説明を工夫すること。

・ 障がい者から申出があった際に、二つ以上のことを同時に説明することは避け、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら対応すること。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前、午後で表記する等の配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。また、紙等に書いて伝達したり、書面を示す場合には、ルビを付与した文字を用いたり、極力平仮名を用いたり、分かち書き(文を書くとき、語と語の間に空白を置く書き方)を行ったりすること。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)

・ 学校において事務手続きの際に、本人・保護者等の了解を得て、教職員や生活介助員等が必要書類の代筆を行うこと。

・ 順番を待つことが苦手な障がい者に対し、順番を教えたり、周囲の者の理解を得た上で手続き順を入れ替えること。

・ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障がい者の順番が来るまで別室や席を用意すること。

・ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張のため、不随意の発声等がある場合、緊張を緩和するため、本人に説明の上、状況に応じて別室を用意すること。

・ 板書やスクリーン等がよく見えるように、黒板等に近い席を確保すること。

・ 車両等での送迎が必要な際に、乗降場所を校舎等の出入り口に近い場所へ変更すること。

・ 学校行事等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりすること。

・ 聞こえにくさのある児童生徒等に対し、外国語のヒアリングの際に、音質・音量を調節したり、文字による代替問題を用意したりすること。

・ 定期試験や検定試験において、公平性を担保する範囲内で、本人・保護者の希望、障がいの状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長等を認めること。

・ 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒等のために、授業で使用する教科書や資料、問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータを事前に渡すこと

・ 日常的に医療的ケアを要する児童生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあること等を含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにすること。

・ 慢性的な病気や肢体不自由があり他の児童生徒等と同じように運動ができない児童生徒等に対し、運動量を軽減したり、代替できる運動を用意するなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をすること。

・ 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な児童生徒等に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材を用意すること。

・ 肢体不自由のある児童生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり、走運動における走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可したりすること。

・ 治療等のため学習できない期間が生じる児童生徒等に対し、補講を行うなど、学習機会を確保する方法を工夫すること。

・ 読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験でのタブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記に代えて口頭試問による学習評価を行ったりすること。

・ 発達障がい等のため、人前での発表が困難な児童生徒等に対し、代替措置としてレポートを課したり、発表を録画したもので学習評価を行ったりすること。

・ 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある児童生徒等のために、能動的な学習活動などにおいてグループを編成する時には、事前に伝えたり、場合によっては本人の意向を確認したりすること。また、こだわりのある児童生徒等のために、話し合いや発表の場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保したり個別に対応したりすること。

小美玉市立学校における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

平成29年3月31日 教育委員会訓令第1号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第7編 育/第2章 学校教育
沿革情報
平成29年3月31日 教育委員会訓令第1号
令和3年3月26日 教育委員会訓令第1号