○小美玉市火災調査規程
平成18年3月27日
消防本部訓令第16号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 用語の意義(第3条・第4条)
第3章 調査の区分(第5条)
第4章 調査体制(第6条―第9条)
第5章 火災調査の基本的留意事項(第10条―第12条)
第6章 現場の保存(第13条・第14条)
第7章 質問の原則(第15条―第17条)
第8章 官公署への照会(第18条)
第9章 資料の収集・保管(第19条―第21条)
第10章 鑑定(第22条)
第11章 調査の記録(第23条)
第12章 原因の判定(第24条)
第13章 調査結果の報告(第25条・第26条)
第14章 火災損害調査(第27条―第29条)
第15章 雑則(第30条―第32条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 本調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
第2章 用語の意義
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(3) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、活用するための質問、実況見分、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。
(4) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について、科学技術的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果をもとに火災原因判定のための資料を得ることをいう。
(5) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(6) 関係者等 法第2条第4項に定める関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(7) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。
(8) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物のほかバルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。
(9) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。
(10) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。
(11) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(12) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。
(13) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるものをいう。
(14) 原野 自然に雑草、かん木類が生育している土地で人が利用しないものをいう。
(15) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(16) 製造物 製造物責任法(平成6年法律第85号。以下「責任法」という。)第2条第1項に定める製造又は加工された動産をいう。
(17) 欠陥 責任法第2条第2項に定める欠陥をいう。
(火災の種別)
第4条 火災の種別は次の6種類とし、その内容は当該各号に掲げるものとする。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 車両火災 車両及び被けん引車又はそれらの積載物が焼損した火災をいう。
(3) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(4) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草、飼料、敷料等が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号以外の物が焼損した火災をいう。
2 爆発現象による破損等のみの火災の種別は、前項に準ずるものとする。
第3章 調査の区分
(調査の区分及び範囲)
第5条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) その他必要な事項
3 火災損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
第4章 調査体制
(調査責任)
第6条 消防長は、管内の火災のうち次の各号に掲げるものについて調査責任を有するものとする。
(1) 火災による死者が3人以上生じたもの
(2) 死者及び負傷者の合計が10人以上生じたもの
(3) 大規模な公共施設及びこれらに類するもの又は社会的影響が大きいもの
2 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄区域内の火災のうち消防長が行う調査以外のものについて調査責任を有するものとする。
3 前2項に掲げる調査区分上疑義が生じた場合は、消防長が決定するものとする。
(体制の確立)
第7条 消防長及び署長(以下「消防長等」という。)は、常に援助協力を図るとともに調査員の調査技術、調査能力の向上に努め、必要な資機材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
(本部の設置)
第8条 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、必要があると認めるときは、調査本部(以下「本部」という。)を設置するものとする。
2 前項の本部の組織編成等についての必要な事項は、消防長の指示により実施するものとする。
(調査の実施)
第9条 消防長等は、火災の覚知とともに調査を開始しなければならない。
2 消防長等は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
第5章 火災調査の基本的留意事項
(調査員の心得)
第10条 調査員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査の結果を効果的に消防行政に反映させること。
(2) 調査に当たっては、事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることのないよう留意すること。
(3) 民事的紛争に関与しないよう留意すること。
(4) 警察機関と緊密な連絡のもとに調査に当たること。
(5) 調査員の調査現場その他関係ある場所への立入りは、関係者の立会いを得ることを原則とする。
(調査の原則)
第11条 調査は、物的証拠を主体とし、関係者等の供述に基づいて検討を加え、科学的方法による合理的な事実の解明を図らなければならない。
(火災出場時の見分状況)
第12条 火災に出場した職員は、消防活動を通じて火災の状況の見分に努めなければならない。
2 職員は、出場途上及び現場において関係者等への質問及び現場の状況から発見、通報、初期消火、火気管理、避難、死傷者、消防対象物のり災状況並びに消防用設備等の使用、作動状況等を把握し、事後の調査に活用させるよう配慮しなければならない。
3 前項における現場質問は、迅速的確に行うものとする。
第6章 現場の保存
(現場の保存)
第13条 火災に出場した職員は、消防活動をするに当たって、事後の調査の支障とならないよう、現場の保存に努めなければならない。
(焼死者等の取扱い)
第14条 火災に出場した職員は、現場において焼死者等を発見した場合は、所轄警察署長に通報し、その現場の保存に努めなければならない。
第7章 質問の原則
(質問)
第15条 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。
(少年等に対する質問)
第16条 少年(18歳未満のものをいう。以下同じ。)並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、前条に定める質問を行う場合には、立会人をおいて行うものとする。ただし、立会人をおくことで、真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
2 前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなくてはならない。
3 少年等は、現場見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情及びその他諸般の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。
(外国人に対する質問)
第17条 外国人に対して質問をする場合で、通訳を必要とするときは消防長が通訳者を依頼するものとする。
第8章 官公署への照会
(官公署への照会)
第18条 消防長等は、官公署に対し調査に関する事項を照会する場合は、火災調査関係事項照会書(様式第1号)により行うものとする。
第9章 資料の収集・保管
(物件等の提出)
第19条 消防長等は、火災の原因等の調査のため必要と思われる場合は、火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し、若しくは輸入した者(以下「製造業者等」という。)又は関係者等に対し、物件や資料等の提出及び報告(以下「物件等」という。)を任意に求めるものとする。
3 消防長等は、立証のため調査が終了したときは、努めて物件等を返却するものとする。
3 物件等を返還する場合には、調査資料保管書と引換えに行うものとする。
第10章 鑑定
(鑑定)
第22条 消防長等は、調査上特に必要がある場合は、鑑定依頼書(様式第7号)により、公的機関に鑑定を依頼することができる。
第11章 調査の記録
(調査書類の作成及び管理)
第23条 消防長等は、管轄区域内で発生した火災について、本章の規定により火災調査に必要な書類(以下「調査書類」という。)を作成し、管理しなければならない。
2 調査書類は、次のとおりとする。
(1) 火災調査報告書(様式第8号)
(3) 火災原因の判定等にかかわる調書
ア 火災原因調査報告書(様式第10号)
イ 火災原因判定書(様式第11号)
ウ 防火管理等調書(様式第12号)
エ 危険物施設等調書(様式第13号)
(4) 出火出場時における見分調書(様式第14号)
(6) 質問調書(様式第16号)
(7) 継続用紙(様式第17号)
(8) 火災原因の立証のために必要な資料
ア 鑑定書
イ 調査員による実験結果報告書
ウ 火災調査関係事項照会書に対する回答文書
エ その他調査書類作成上必要な文書等
(9) 損害調査にかかわる調書
ア 火災損害調査報告書(様式第18号)
イ 損害調査書(様式第19号)
ウ 建物・収容物損害調査書(様式第20号)
エ 建物以外の損害調査書(様式第21号)
オ 死傷者調査書(様式第22号)
3 調査書類には、調査の内容を明らかにするため、必要な写真及び図面を作成し、添付するものとする。
4 調査書類は、火災の程度及び種別に応じて次の基準により作成するものとする。
(1) 建物のぼや火災、林野火災、車両火災及びその他の火災で、損害額が計上されない火災
ア 火災調査書
イ 実況見分調書
ウ 次に掲げる調書等のうち必要な調書
(ア) 防火管理等調書
(イ) 質問調書
(ウ) 損害調査にかかわる調書
(2) 前号に掲げる以外の火災及び消防長等が必要と認める火災
ア 火災調査書
イ 火災原因判定書
ウ 実況見分調書
エ 質問調書
オ 次に掲げる調書等のうち必要な調書
(ア) 出火出場時における見分調書
(イ) 防火管理等調書
(ウ) 損害調査にかかわる調書
(3) 消防長等は前各号の定めによるほか、火災の状況又は程度により調査書類の一部を追加又は省略することができる。
第12章 原因の判定
(原因の判定)
第24条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
第13章 調査結果の報告
(速報)
第25条 署長は、火災調査速報(様式第23号)を作成し案内図(地図の写し)を添付して、火災の概況を消防長に速報しなければならない。
(報告)
第26条 署長又は予防課長は、火災調査終了後60日以内に次の書類を消防長に報告しなければならない。ただし、特異的な火災等で期限内に報告することができない場合は、あらかじめその理由を書面にて消防長に報告しなければならない。
(1) 火災調査報告書(様式第8号)
(3) 死傷者調査書(様式第22号)
第14章 火災損害調査
(火災損害調査)
第27条 火災の損害調査は、り災した消防対象物の関係者に対し、次に掲げるり災申告書により申告を求めるものとする。
(1) 不動産り災申告書(様式第24号)
(3) 車両・船舶・航空機り災申告書(様式第26号)
2 前項の規定様式以外の証明願出については、証明をもって足りるものとする。
3 前2項のり災の証明は、原則として火災現場の見分が終了したのち交付するものとする。
(り災証明の処理)
第29条 り災証明書を交付したときは、り災証明処理台帳(様式第30号)に記入し交付の状況を明確にしておかなければならない。
第15章 雑則
(照会及び証人等の対応)
第30条 消防長等は、裁判所、捜査機関等から調査結果の内容について照会があった場合は、調査書類の抄本を送付し、又は内容について回答することができる。
2 前項の照会に対しては、個人の名誉及びプライバシーを尊重するとともにその他消防行政に及ぼす影響に細心の注意を払い、消防長等は互いに協議の上対応するものとする。
3 職員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼び出し、若しくは召喚を受けた場合は、所属長に、所属長は消防長にその事案概要を報告しなければならない。捜査機関又は裁判所に出頭した結果についても同様とする。
(書類の保存等)
第31条 消防長等は、必要事項を火災調査記録簿(様式第31号)記載しておかなければならない。
2 調査書類は、永年保存するものとする。
(その他)
第32条 この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成18年3月27日から施行する。
附則(平成18年消本訓令第36号)
この訓令は、平成19年1月1日から施行する。
附則(平成21年消本訓令第4号)
この訓令は、平成22年1月1日から施行する。
附則(平成22年消本訓令第2号)
(施行期日)
この訓令は、平成22年9月3日から施行する。
附則(平成25年消本訓令第2号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成28年消本訓令第10号)
(施行期日)
1 この訓令は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日(平成28年4月1日)から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の際、第1条の規定による改正前の小美玉市火災予防査察規程、第2条の規定による改正前の小美玉市消防本部火災予防事務処理規程及び第3条の規定による改正前の小美玉市火災調査規程に規定する様式による用紙で、現に残存するものは、当分の間、所要の修正を加え、なお使用することができる。
附則(平成29年消本訓令第3号)
この訓令は、平成29年4月1日から施行する。
附則(令和4年消本訓令第2号)
この訓令は、令和4年4月1日から施行する。