○校外において、宿泊を要する教育活動及び水泳訓練等を実施する場合の基準

平成18年3月27日

教育委員会訓令第4号

1 修学旅行について

(1) 実施目的

修学旅行の目的は、その教育的意義の重要性にかんがみ、単に行楽を目的とすることなく、教科学習、特別教育活動及び生徒指導の延長として、教育的効果の向上を図るものとする。

(2) 実施計画

計画の樹立に当たっては、飽くまで教育的見地にたち、保護者及び児童生徒に過度の精神的、身体的、経済的負担のかからぬよう留意しなければならない。

(3) 目的地・コースの選定

目的地・コースの選定に当たっては、(1)の趣旨に基づき、単に観光地のみを選定することなく、生産面の見学を加えるなど十分な研究調査に基づいて決定し、その改善に絶えず努力しなければならない。

(4) 実施時期

修学旅行は、なるべく多客期を避けて行い、年間授業時数の確保についても十分考慮しなければならない。

(5) 実施学年

小学校、中学校及び義務教育学校が実施する宿泊を伴う修学旅行は、小学校及び義務教育学校前期課程(以下「小学校」という。)、中学校及び義務教育学校後期課程(以下「中学校」という。)とも在学中1回とし、最終学年に実施する。ただし、特別の事情がある場合は、この限りでない。

(6) 旅行日程

小学校及び中学校が実施する宿泊を伴う修学旅行に要する日数は、小学校においては1泊2日、中学校においては2泊3日以内とする。

(7) 車船泊数

宿泊を伴う修学旅行の場合、車船泊は避けることが望ましいが、やむを得ない場合においても1回を限度とし、かつ、帰路に行うことが望ましい。

(8) 出発及び帰校時刻

学校所在地出発時刻及び帰校時刻は、早暁又は夜にわたらぬよう注意しなければならない。

(9) 経費

経費については極力節約を図り、保護者の負担の軽減を図らなければならない。

なお、宿泊旅行に要する経費については、十分な旅行積立金を有するような方途をあらかじめ講ずることが望ましい。

(10) 参加児童生徒数

修学旅行を実施する場合は、当該学年在籍児童生徒数の大多数が参加するものでなければならない。

(11) 保護者の承諾

修学旅行に参加する児童生徒については、あらかじめ保護者の承諾を得なければならない。

(12) 関係機関との連絡

修学旅行を実施する場合は、あらかじめ目的地における警察署、保健所及び消防署等の関係機関に次の事項を連絡し、その指示を受けることが必要である。

ア 旅行の日程

イ 学年及び児童生徒数(内女子生徒数)

ウ 引率責任者名

エ 宿泊旅館名及び所在地

オ その他参考事項

(13) 参加児童生徒の編成

参加児童生徒の編成の規模は、児童生徒の掌握、輸送の安全、見学宿泊等の便不便を考慮し、決定されなければならないが、多人数にわたるときは、分団に編成し実施することが望ましい。

(14) 引率者

引率者は、おおむね参加児童生徒30人に1人の割合とし、実施学年に関係ある男女教師をもって充て、年齢的に老若一方に偏ることなく編成することが望ましい。

なお、校長又はそれに代わる教師を参加させ、全体の責任者とし、養護教諭又はこれに代わる教師を参加させることが望ましい。

(15) 実施上の注意事項

ア 班編成

参加児童生徒数、ホームルームの組織等により異なるが、男女別に10人内外で班編成を行い、規律ある行動のとれるようにすることが必要である。

イ 宿舎の選定

宿舎の選定に当たっては、環境、収容力、構造、保健衛生等の状態について十分な調査を実施し、決定しなければならない。

ウ 交通機関の選定

交通機関の選定は、事故防止の立場から十分な考慮を払い、利用交通機関の種類、所要時間、経費、安全度、信頼度等について事前に慎重な調査を行い決定しなければならない。

エ 旅行あっ旋業者の利用

旅行あっ旋業者を利用して計画の樹立をする場合は、旅行業法(昭和27年法律第239号)による登録の有無、業者の組織、信用度、あっ旋料金等について十分な検討を加え、常に主体性をもって当たらなければならない。

オ 事前指導

各教科活動、特別教育活動等の時間において必要事項の学習を行うほか、運行図の読み方、旅費の概算の仕方、保健上の注意事項、旅行中の申合せ事項、研究課題等について話合いを行い、児童生徒の理解を高めるための工夫がなされなければならない。

カ 道徳的指導

学校は、家庭における生活指導について協力を依頼するとともに、旅行中の規律の保持については、車船内、宿舎、歩行時、見学等の心得を作成し、道徳の向上に努めなければならない。

キ 健康指導

参加児童生徒に対しては、観察、聴取、月例の測定等の健康調査を基にして学校医による健康診断を行い、その結果によっては、参加の停止や治療させる等の適切な処置をすることが必要である。

なお、食物、身体上のことについての指導を慎重にし、携行医薬品についても十分確保すべきである。

ク 事故防止

修学旅行における事故は、交通事故、食中毒、伝染病その他の急性疾患、非行、盗難等であるが、事前に交通訓練、救急訓練、避難訓練を徹底し、また、宿舎に到着した場合は、非常口を確かめ児童生徒に周知させる等児童生徒の生命・身体の安全については、いやしくも計画の不備や指導の不徹底に起因するような事故は絶対に起こらぬよう万全の措置が講じられなければならない。

ケ 事故発生時の措置

交通事故、火災等の発生した場合は、引率者は速やかに事態を判断し、関係者、関係機関に連絡するとともに、必要により、自己の判断に基づき児童生徒を退避させ、人員の掌握に努める。

食中毒・伝染病が発生した場合は、所轄の保健所、警察署に連絡し、そのまん延の軽減に努めるなど処置すべきである。その他いかなる事故の発生した場合でも、引率者はき然たる態度をもって沈着果敢に行動し、児童生徒にいささかでも動揺を与えるようなことがあってはならない。

なお、応急措置の済み次第速やかに学校へ連絡しなければならない。

コ 服装・携行品

服装・携行品については、華美にわたることを厳に慎み、軽快堅ろうで必要最小限のものに限定し、非常に際し敏しょうな行動がとれるよう指導しなければならない。

(16) 実施後の指導と結果の活用

旅行終了後直ちに参加児童生徒に対し健康調査を行い、異常のある場合には適切な処置を講じなければならない。旅行による学習の結果については、学級、グループ等による研究討議及び創作活動を実施し、結果の整理を行い報告会等を開くのがよい。引率者は計画全般、事前の指導、旅行中の指導、児童生徒の反省発表等を通じ詳細な評価を行って、旅行結果の記録を完成し、将来の旅行実施に備えなければならない。

2 宿泊を伴う共同生活学習について

(1) 実施目的

教師と児童生徒が自然に親しみ、宿泊をともにすることによって相互の人間関係を深め、体験的活動を通して豊かな心とたくましい身体の育成を図り、あわせて、進んで社会に貢献しようとする行動力を育成する。

(2) 実施の時期及び期間

適切な時期を選んで実施し、実施の期間は4泊5日以内とする。

(3) 実施計画、実施上の留意点等については、宿泊を伴う共同生活学習実施要項(別紙)及び「宿泊を伴う共同生活学習指導の手びき」(昭和50年度茨城県教育委員会)を参照し、所期の目的が十分達せられるように努め、事故の防止に万全を期すこと。

3 対外試合について

(1) 実施目的

対外試合は、生徒の心身の発達を促し、公正にして健全な杜会的態度の育成を図るものとする。

(2) 試合参加

対外試合は、県内で行うことを主とし、地方大会・全国大会への参加は、生徒1人につきそれぞれ年2回程度とする。ただし、国民体育大会への参加は例外とする。

(3) 主催団体及び機関

学校が参加する競技会は、教育関係団体又は教育関係機関が主催し、その責任において教育的に運営されるものに限る。

なお、「教育関係団体」とは、中学校体育連盟、これに加盟している競技団体、これに準ずる競技団体、学校体育スポーツ団体及びこれらの下部組織(これらの団体の最下部組織であるクラブ及び学校は含まない。)をいう。

また、「教育関係機関」とは、文部科学省、教育委員会等の教育行政機関をいう。

(4) 実施上の注意事項

ア 数校間の狭い範囲の対外試合は、関係学校において主催する。

イ 対外試合は、参加生徒の年間授業時数が確保されるよう、また、学校の正常な運営に支障を来さぬよう配慮されなければならない。

ウ 選手は、一部の生徒に偏ることなく、できるだけ多くの生徒が参加できるようにする。

エ 選手は、単に競技成績だけでなく、本人の意志、健康、学業、素行その他を考慮して決める。

オ 参加生徒は、あらかじめ学校医による健康診断を行い、かつ、保護者の承諾を得なければならない。

カ 対外試合は、生徒の心身の発達段階や性別に応じて行われなければならない。そのためには必要な運営上の措置を考慮することが望ましい。

キ 女子生徒が対外試合に参加する場合は、女子教員が付き添うようにすることが望ましい。

ク 応援については、生徒としてふさわしい態度をとるよう適切な指導をしなければならない。

4 水泳について

(1) 実施目的

水泳の目的は、児童生徒の心身の発達段階に応じて泳法を習得させ、健康な身体の育成を図るものとする。

(2) 実施地の選定

実施に当たっては、あらかじめ次の点について十分調査しなければならない。

ア 潮流・流速

イ 海底・河床の状況

ウ 汚物・病菌の有無

エ 海辺・川岸の状況

オ 水温(実施中においても計温し、温度変化に注意する。)

(3) 施設・設備

比較的長期にわたって実施する場合は、次に掲げる施設・設備のある場所を選定することが望ましい。

特に、標識・救急用具が付設されていない場合は、学校が整備するなど適切な配慮が必要である。

ア 脱衣場

イ 湯呑所

ウ 便所

エ 救護所

オ 洗身所

カ 標識

キ 監視所

ク 救助舟

ケ 救急用具等

(4) 実施上の注意事項

ア 児童生徒の体力・技能に応じ、無理のない指導計画を立て、また、過重な経済的負担のかからぬよう考慮しなければならない。

イ 参加児童生徒については、あらかじめ学校医の健康診断を行いその指示を受けること。

ウ 参加児童生徒については、あらかじめ保護者の承諾を得なければならない。

エ 指導者には、原則として学校職員を充てなければならない。

オ 指導者は、入水前後の人員の掌握と、水泳中における監視に専念しなければならない。

カ 指導者は、少なくとも児童生徒15人につき1人を充てなければならない。

キ 実施中は、参加児童生徒の食物や身体上のことについて指導を厳にし、早期に異状の発見に努めるとともに、携行医薬品を十分用意しなければならない。

(5) 関係機関との連絡

ア 校長は、実施地の保健所、海上保安部、警察署等の調査機関にあらかじめ連絡し協力を求めることが望ましい。

イ 校長は、実施地に施設を設圏する場合、所轄土木事務所に設園願を提出し、その許可を受けなければならない。

5 キャンプ・登山・スキーについて

(1) 実施目的

野外での集団活動を通して、野外の運動の特性を理解させ、その知識と技能を習得させるとともに、自然に親しむ能力や態度の育成を図るものとする。

(2) 実施地の選定

ア キャンプについては、良質の水が得られる場所、風通しのよい高燥地等を考慮して選定しなければならない。

イ 登山については、山の気象や地形、登山に関する知識や技能を身に付け、落石等のない山や生徒の能力にふさわしいコースを選定しなければならない。

ウ スキーについては、生徒の体力・技能等の実態を考慮して地形、斜面の選定をしなければならない。

(3) 実施計画

ア 実施地については、事前に十分調査をしなければならない。

イ 事前にオリエンテーションを実施し、野外活動に関する基礎的知識及び諸注意を与え、特に登山については、装備に万全を期するとともに、指導・訓練を徹底しなければならない。

ウ 生徒の体力・経験・技能に応じた無理のない計画を立てなければならない。特に登山については、天候の変化への対応ができるような計画を立てなければならない。

エ 実施期間は4泊5日(現地)を限度とする。

オ 実施に当たっては、必ず経験のある指導者(学校職員)を充て、1グループは15人程度で編成しなければならない。

また、登山については、1グループは10人以内とし、2人以上の指導者を充てることが望ましい。

カ 女子生徒が参加する場合には、その学校の女子教員を加えることが望ましい。なお、登山については、体力等を考慮し、女子のみのグループを編成することが望ましい。

キ 事前に保護者の承諾を得た上で、校医による健康診断を行い、その指示に従って不適格者は参加させてはならない。

ク 参加者の氏名、住所、行動予定、期日、行程略図、通信方法等について、あらかじめ家庭に連絡しておかなければならない。

ケ 悪天候その他実施上困難を伴うような事態が生じたときは、計画を変更し、又は中止し、無謀な行動を避け、参加者の生命の安全に万全を期さなければならない。

コ 冬季登山は原則として行ってはならない。

(4) 関係機関との連絡

事前に、実施地の警察署、保健所等に連絡し、協力を求めるとともにその指示に従うこと。

この訓令は、平成18年3月27日から施行する。

(令和3年教委訓令第1号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

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校外において、宿泊を要する教育活動及び水泳訓練等を実施する場合の基準

平成18年3月27日 教育委員会訓令第4号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第7編 育/第2章 学校教育
沿革情報
平成18年3月27日 教育委員会訓令第4号
令和3年3月26日 教育委員会訓令第1号